今回は日本で成立済みの『カジノ法案』について解説をする記事だぜ。
2016年12月、日本で「カジノ法案」が成立し、カジノを含む統合型リゾート(IR)の推進が始まりました。カジノ法案というのは俗称で、正式名称は「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」です。
日本にはこれまで統合型リゾートというものは無かったので、どのようなものになるのか想像しづらいですよね。世界的に有名な統合型リゾートであるアメリカの「ラスベガス・サンズ」やシンガポールの「マリーナベイ・サンズ」などをイメージしてもらうと分かりやすいと思います。
今回の記事ではカジノ法案とはどういうものなのかということから、日本での候補地まで詳しく解説をしていきます。
この記事を読んだらわかること
✅カジノを日本に誘致する問題点
✅実際にカジノができたときに注意すべきこと
✅カジノ誘致の候補地
目 次
カジノ法案とは一体何？
カジノ法案というのは「カジノを含む統合型リゾートを日本に誘致するための法律」です。単純にカジノを作るだけの法律というわけではありません。
カジノ法案の目的や内容について紹介していきます。
カジノ法案の目的は『経済効果のアップ』
まず初めに、カジノ法案の一番の目的は「観光客を増やし経済的効果をアップさせること」です。カジノによる経済効果は年間2兆円～6兆円に上ると試算されており、日本の景気を回復する助けになるだろうと期待が高まっています。
カジノを含む統合型リゾートは海外からの観光客をメインターゲットとしています。そのため法案が成立した当初は、外国人観光客が増えるであろう2020年の東京オリンピックに間に合うように統合型リゾートが建設される予定でした。
しかし、カジノを誘致するための具体的な法案や対策案、またカジノ運営組織の発足などに時間が掛かりオリンピックに合わせた建設は不可能に。統合型リゾートのオープンは今のところ未定ですが、2025年前後だろうと予想されています。
統合型リゾート（IR）とは？
統合型リゾートは「IR（Integrated Resort）」とも呼ばれます。IRというのは複合観光集客施設のことで、海外からの観光客の観光拠点となるような場所です。
統合型リゾートにはホテル・レストラン・ショッピングモール・劇場・映画館など様々な施設がありますが、主な収益源はカジノです。統合型リゾートとして既に成功している「ラスベガス・サンズ」や「マリーナベイ・サンズ」の収益の半分以上はカジノだと言われています。
そのため統合型リゾート＝カジノだと捉えられがちですが、実際には様々な娯楽を楽しむことのできる観光施設です。
統合型リゾートにおいて、収益のメインとなるカジノはもちろん重要ですがMICEの誘致も非常に重要です。MICEとは国際規模のビジネス系イベントの総称であり、その内容は国際会議・外資系セミナー・インセンティブ旅行・展示会・商談会など様々です。
カジノやMICEも含め、統合型リゾートの推進は今後の日本経済に多大な影響を及ぼすことが考えられます。
カジノ法案はなぜ反対されているの？
メリットがたくさんあるように思えるカジノ法案ですが、実は反対する声も数多く上がっています。その理由を解説します。
マネーロンダリングに利用されやすい
マネーロンダリングは日本語でいう「資金洗浄」のことです。脱税・賄賂・麻薬の密売など犯罪で得たお金（汚いお金）を、出所が分からなくすることによって正当に得たお金（綺麗なお金）に見せかける行為です。
海外では「カジノはマネーロンダリングの温床」と揶揄されるほど、カジノでのマネーロンダリングが横行しています。たいていは下記のような手口でマネーロンダリングが行われます。
- 犯罪で得たお金をカジノで賭ける
- わざと負けてカジノにお金を回収させる
- 別の仲間が勝ちお金を取り戻す
このようにすることで「手元にあるのはカジノで勝ったお金」ということになり、あたかも正当な手段で得たお金であるように見せかけることができてしまうのです。
日本ではマネーロンダリングの対策が遅れていることもあり、カジノが完成すればますますマネーロンダリングが増えるのではないかと懸念されています。
治安が悪くなる
日本にカジノが誘致されると外国人観光客が増加することが予測されます。するとカジノがある一箇所に多くの外国人観光客が集まることになるため、治安の良し悪しが変わってしまうことになります。
外国人観光客は日本人とは生活感が全く違うので、カジノ誘致された土地の治安に変化があることはほぼ間違いないでしょう。
また、普通の外国人観光客ならともかく、マネーロンダリング目当ての犯罪者が出入りしている可能性もあることを考えると怖いイメージを抱いてしまうのは仕方ないのかもしれません。
国民のギャンブル依存症が加速する
日本では、パチンコ・競馬・競輪などに異常なまでに入れ込んでしまう「ギャンブル依存症」の割合が近年では特に増えてきています。
ギャンブルをやめようと思ってもやめられず、借金を作ってまでギャンブルをするという人は少なくありません。ギャンブル依存症は精神疾患のひとつにも分類されている危険な病です。
日本にカジノができることによって、国民のギャンブル依存症が今まで以上に加速するのではないかということが懸念されています。政府は「ギャンブル等依存症対策基本法」を成立させ、ギャンブル依存症への対策を進めています。
他の公営ギャンブル・パチンコなどとバッティングする
日本には競馬・競輪などの公営ギャンブルや、三点方式で運営しているパチンコ・パチスロなどのギャンブルが既にあります。これらを運営している政府・企業の視点から見ると、日本でのカジノ誘致は顧客を取られ利益がバッティングしてしまう可能性を持っています。
しかし、カジノは外国人観光客をターゲットとしていることや、遊び方が全く違うことから大きな影響はないのではないかという風にも考えられます。
とはいえギャンブルという点においてはカジノもパチンコも同じなので、顧客層が被り利益がバッティングする可能性は十分に考えられます。
カジノ法案設立における日本人が注意すべきこと
実際にカジノが設立された際に、日本人が注意しておかなければならないことについてまとめていきます。
入場時にマイナンバーを提示する
ギャンブル依存症の対策の一環として、日本人はカジノへの入場制限が設けられます。カジノへの入場回数確認と本人確認に使われる予定なのがマイナンバーカードです。
カジノへ入場するためにはマイナンバーカードの提示が義務付けられることになるため、まだ発行していない人はあらかじめ用意しておきましょう。
入場の際に『入場料』を支払う
カジノへ入場する際には、日本人または日本国籍の人は入場料の支払いが義務付けられます。日本でのカジノ入場料は6,000円とすることで既に決まっています。
「6,000円は高いのではないか？」という声もありますが、シンガポールのカジノでのシンガポール国籍の人の入場料は日本円で約8,000円とされています。そのため日本も入場料を8,000円にするべきと協議されていましたが、入場料が高過ぎると利用者が減ってしまうということで6,000円に落ち着きました。
クレジットカードでのチップ購入を制限
カジノでは現金の代わりにチップを賭けてゲームを遊びます。チップを購入する際、日本人はクレジットカードの利用が禁止され現金のみでの購入になります。
こちらはギャンブル依存症への対策の一環です。カジノでは現金をチップに変えることで「お金を賭けている」という感覚が薄れ金銭感覚が麻痺します。クレジットカードでチップの購入をすると余計にお金を使っている感覚がなくなり、必要以上のお金をつぎ込んでしまう…ということになりかねません。
そのため日本人のチップ購入は現金のみという措置が取られました。
カジノ誘致の候補地はどこ？
少しずつ日本でのカジノ誘致の計画が進んでいますが、気になるのは「カジノはどこにできるの？」ということですよね。現在のところ有力な候補地は3つあります。
- 大阪（舞洲）…都市型IR
- 和歌山（マリーナシティ）…リゾート型IR
- 長崎（ハウステンボス）…海中IR
各地域は既にカジノ誘致を表明し、地域の特性に合わせたIR構想を練っています。それぞれの構想を紹介していきます。
大阪（舞洲）
大阪市此花区にある舞洲はバブル時代に作られた人工島です。もともとオリンピック構想のために作られた島でしたが、バブル崩壊などの影響で計画は頓挫し今ではほぼ空地という状態です。
負の遺産とまで呼ばれる舞洲の広い敷地や都心部へのアクセスの良さを活かし、近未来的な都市型IRを作ろうというのが大阪でのIR構想です。関西国際空港からのアクセスも電車で1時間ほどなので、MICE施設（国際会議場など）を国内最大にするとの方針も打ち出されています。
2025年の大阪万博開催に合わせてIRをオープンさせたいという意向です。
和歌山（マリーナシティ）
和歌山マリーナシティは、テーマパーク・温泉・ホテル・釣り堀・市場などが集まったリゾート地です。既に人気の高い観光地ですが、IR誘致をすることで外国人観光客が増加し更なる経済活性が見込めます。
和歌山から発表されているIR基本構想によると、様々な観光資源をもとにスポーツ（釣り・ダイビング・サーフィンなど）＆癒し（温泉・グランピング・音楽祭など）を提供するリゾート型IRを目指していくとのことです。
海の幸やフルーツなど食の質が高いことや、四季折々の美しい自然風景を楽しめることなどから有力な候補地の一つとなっています。
長崎（ハウステンボス）
ハウステンボスはオランダの街並みを再現した人気のテーマパークです。長崎へのカジノ誘致が決まったら、ハウステンボスの一部の敷地を売り渡しIRが建設される予定です。
そんなハウステンボスのIR構想は世界初となる海中カジノです。強化ガラスを使って海中にカジノを建設し、魚が泳ぐ様子を眺めながらゲームを楽しめるということで他のカジノとの差別化を図っています。
予算や技術などクリアしなければならない問題は山積みですが、成功すればインバウンドによる多大な経済効果が見込めます。
【まとめ】日本のカジノ誘致へ向けての計画を日々進んでいる
カジノ誘致の具体的な日程や候補地はまだ決まっていませんが、2022年頃には正式に候補地が決まり、2025年前後にはオープンするだろうと予想されています。
治安の問題やギャンブル依存症など不安な面があることも確かですが、経済効果がアップして日本の景気が回復すると嬉しいですね。
カジノに興味があればぜひオンラインカジノでも遊んでみてください。スマホやパソコンがあればすぐにでも始められますし、カジノにはどんなゲームがあるのか知ることもできますよ。
1分でわかるこの記事で紹介したポイント
✅カジノ誘致には問題点もあり反対する声も上がっている
✅日本人のカジノ利用には制限が課される
✅カジノ候補地として有力なのは大阪・和歌山・長崎の3つ
